といってももはやPARCOではなく完全にJINSのみの話となるのだが、それはわたしがメガネオタクゆえ。写真を完全に撮り忘れていたうえに帰宅後急ぎ足で執筆しているため、かなり読みづらい内容となっていることはお許しいただきたい。
概要
さていきなりだが、メガネを試着するにあたって最大の問題はなんだろうか。掛けるのが恥ずかしい、あれこれ試すのが面倒、そもそも眼鏡屋に入りづらい、まあ色々あるだろう。中でも特に深刻なのが試着しても目が悪くて見えない、これにつきる。強度近視のように極端に目の悪いメガネユーザー諸君ならなおさら共感してくれることだろう。せっかく眼鏡屋へ行っても、目が悪いせいでよく見えないんじゃどれにしようか決めようがない。そんな問題を解決するのがMEGANE on MEGANEだ。論より証拠、まずはその使用風景をご覧いただこう。
渋谷PARCOのJINSにあるバーチャル試着が凄い— ばらぶ (@Death_Tod) November 21, 2019
フレームをセットするとQRコードを読み込んで顔の上に乗せてくれる
しかもこれの何がヤバいって単純な顔認証だけじゃなくて、自分のメガネを掛けたままでもそれを消したうえでフレームをかぶせてくるとこ
これで"試着しても目が悪くて全く見えん問題"が解決 pic.twitter.com/jvKlspyTuO
このように自分が普段使っているメガネを掛けたままでもリアルタイムでバーチャル試着ができるのである。動画中盤、一瞬3Dモデルが表示されなくなる場面からも分かるように常にメガネを掛けながら試着が可能だ。これを画期的と言わずして何と言う。
また使い方もいたって簡単。
- 試着したいフレームを所定の位置にセットする
- 映像の枠内に顔を合わせる
たったこれだけだ。細かい仕組みを話すと、まずフレームごとに固有のQRコードが設定されており、それがレンズに貼り付けられている。フレームを機械にセットすることでそのQRコードを読み取り、3Dモデルを表示するといった具合だ。
その後顔を認識して3Dモデルを被せるのだが、それと同時に現実で掛けているフレームを自然に消しているため、あたかも素顔の状態で試着しているかのようにして画面上に表示することができるのである。もちろん、メガネを掛けていない状態であっても問題なく機能する。
これによって試着したときのイメージをしっかりと掴めるだけでなく、前述したような掛け替えの手間も省くことができる。まさに一石二鳥、試着の煩わしさを大幅に軽減してくれるのである。
また余談ではあるが、実はJINSは以前よりバーチャル試着サービスを提供している。ただこちらは撮影した正面画像の上にフレームを重ねるだけという平面的かつシンプルなものであるため、今回のMEGANE on MEGANEとは違った方向性となっている。
このサービスはJINS公式サイトやアプリで利用することができるため、興味がある方はぜひ試してみてほしい。
使ってみて
さて実際に使ってみた感想だが、正直言ってほとんど非の打ち所がない。強いて欠点を挙げるとすれば、光の加減によるフレーム(特にアセテート系)の発色の変化までは再現しきれないといったところだろう。角度が変わっても色味が一様であるため、のっぺりとした印象が拭えない。ただそんなことはMEGANE on MEGANEのすばらしさの前では些細な問題に過ぎない。
サイズ完璧、角度に合わせて追従
メガネを選ぶにあたって最も重要ともいえるのがサイズ感であろう。そういう意味ではフレームの縮尺もまた重要になるのだが、ここに関しても全く違和感がない。実物のフレームを掛けたときと比べてみても遜色ない再現度となっている。
また動画を見ていただければ分かるように、大袈裟に首を回してもそれに合わせてフレームも追いかけてきてくれる点も評価すべきだろう。上下と左右それぞれ90°程度の範囲内であれば全く問題なく機能しているため、日常的に発生しうる他人からの見られ方をしっかりと確認できるのだ。
ゲーム感覚のJINS BRAIN
MEGANE on MEGANEにはリアルタイムバーチャル試着に加えて、試着しているメガネのマッチ度をパーセント表示してくれるJINS BRAINも搭載されている。前述した既存の試着サービスの中でもこの機能は利用可能だ。
JINSスタッフ3,000名による約60,000件の画像評価データをコンピューターが機械学習
出典:JINS BRAIN
JINS BRAINではサイズ感やカラー相性などを総合してマッチ度を判断するため、例えば同じ形状のフレームでも色によって数値が前後してくる。具体的にどういった基準でマッチ度の良し悪しを決定しているのかは不明であるが、よく言われる「顔の形にあったフレームタイプ」の理論に概ね従っているように思われる。
この理論の可否に関しては色々と思うところもあるが、とはいえどのメガネにするか決めあぐねている人にとっては非常にありがたい機能であることは疑いようもない。
フレームとカラーの全ての組み合わせそれぞれに固有のマッチ度が算出されるため、なんだかんだ言いつつもいろんなフレームをついつい試してしまうのもまた事実。もちろん、フレームを置くだけで試着できるので10本20本と掛け替え置き替えても大した手間にはならない。
システムの今後
メガネそのものを単体で眺めるだけでは似合う似合わないなどというものは分からないもので、一見気が引けるようなデザインでも掛けてみると案外イケるなんてこともあるくらいだ。それを身をもって体験してきたからこそ、我々オタクはとにかく試着しまくれと言い続けてきたわけなのだが、それももう必要なくなるのかもしれない。
なにせこれまでと比べて圧倒的に簡単でかつ楽しみながら試せるのだから、試着というハードルが下がってくることは間違いないだろう。そういう意味でMEGANE on MEGANEはメガネ界の未来を照らすサービスであるといえる。
色々なブランドを試着したい
となるとやはり気になってくるのがJINS以外でのシステム利用だ。今回のJINSの場合はそもそも取り扱っているフレームが全て自社ブランドであるため、3Dモデルの作成・入手及びシステムへのデータ組み込みも容易であったことは想像に難くない。
これがブランドの垣根を超えて様々なフレームを試着できるようになったら非常にありがたい。難しそうに思えるが、技術的な面でだけ考えれば案外簡単なのかもしれない。というのも、極端な話3Dモデルさえ用意できればあとはそのデータを組み込むだけで新たなフレームの試着も可能となるからだ。
昨今のメガネはその大半が3Dモデリングによってデザインされているようで、このシステムのためだけにモデルを一から作るというほどのことにはならずに済みそうである。もちろんいざフレームを追加するとなれば全カラバリ分のデータが欲しいわけで、それだけ手間が増えてしまうのだが、デザイン段階で作成したモデリングデータが存在するのであれば色や柄を変更するのはそこまで難しい話でもないだろう。
この場合の理想はブランドが独自にシステムを開発・保有するのではなく、試着システムの管理を行うメーカーがメガネブランドとは独立して存在したうえで、メガネブランド各々がモデリングデータを提供してシステムを活用するのが良いように思う。
この仕組みの最大の利点は、町の眼鏡屋さんでも導入可能な点である。JINSのように製造とともに販売も行ういわゆる製造小売業者であれば自社でシステム開発を行っても十分にメリットがあると言える。ただ忘れてはいけないのが、世の中のほとんどのメガネ販売店では様々なブランドの商品を取り扱っているのである。
となれば、やはりブランド問わずデータを集約したシステムを構築した上で、眼鏡販売業界共通の唯一の規格として利用することが最も現実的かつ効率的であるように思う。近所にある個人経営の眼鏡屋さんへ行って画面越しに試着するなんてのもおもしろいだろう。
必要な機器に関しては、実物を見たところQRコードリーダーと液晶、あとは顔認証ができる程度のカメラで十分なように思われる。ソフトウェアこそハイテクなものの機器の設置コストは低めと予想されるため、ソフト配布の環境さえ整えば販売店での導入は割とすんなりいくかもしれない。
とはいえそうそう簡単な話でないことも十分に理解できる。まあそこらへんは業界のお偉いさん方に任せるとして、わたしはこれからもメガネを愛でるとしよう。
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